夜の騎士

2009年1月11日 日常
まるであの時眠れない夜を過ごしたみたいに。

眠れない、というのは正確ではないのだと思う。眠らない、と言った方が正しいのだろう。
僕が眠っている間に世界は滅び目覚めとともにまた再生されるなんて妄想も論理上は無矛盾だ。
だから僕は世界を壊さないように起き続ける。
世界を守るために。

そんな世界という漠然とした妄想を確固とするためには依り代が必要だった。
世界はどこかで侵されて傷ついているから。

それが何かを探すために眠らなかったのだ。
夜な夜な徘徊する僕は夜の騎士で、どうでもいいけどナイトオブナイトだった。
世界を守らナイトいけなかったんだ。

いつのまにかそんな青いときは過ぎ去っていて。
世界の再生は何千回を数えていたけど
変化しない事象ならそれは無いことと同じで。

それでも何かをまだ守ろうとしてた。
それはもう妄想ではなくて。
人によっては守るという言葉では言わないかもしれないけれど
お金だったり地位だったり名誉だったり。
得るにしろ目指すにしろ守るにしろきっと大して違いないんだ。
守るものを持たない僕はまず守るものを探さないといけないんだから。

ずっと探していた。
眠らない夜を忘れてしまっても。
それどころか昼も寝続けて、機械的に動いているだけだった。
こんなにも何も無くても鼓動はできてしまって。

やっと、見つけた。

いや、気づいた。


ねぇ、僕が守ろうと思ったものは

守るべきだったものは

遠い記憶の中にあったよ。


今はもう、遠くから見つめるような赤い糸よりも細い細い糸が
かすかにひっかかってるだけなんだ。

振る剣夜を切り裂いた。
日はまた昇る。望むのは東に沈む日。
気づいたときにもう、遅かったなんて。

また眠れないまま、「守れなかったこと」を守り続けてる。

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