BLUE MOON BLUE
2008年4月2日 駄文時間が痛みを薄れさせるというのを実感したのは女の子になった時だった。
廻り来る青い周期は鈍く痛み、そして何も残さずに消えていく。
それがどこか大切なもののように思えるのは生命の源泉に繋がっているからなんだろうか。
でも、現実はもっともっと刹那的でそんなことよりも
お笑い芸人のリアクション一つの方がよっぽど心を動かすのだろう。
一瞬のきらめき…とまではいかないか。それでも、他愛も無い笑いは心が軽くなる。
猫の鳴き声でも笑えたあの頃が懐かしくなる。
それは、笑いと痛みという対極とでもいうべき違いもある。
誰だって笑っていたいに違いない。
痛い事に快楽を感じる倒錯した人もるようだけど
それだって何かが付随しているからこそで痛みが主軸ではないのだろうと思う。
あの子もホントウに独りなら手首切りはしなかったから。
笑いはモーションでもキーワードでも簡単に分かる(ような気がする)のに
痛みはなんでちっともなんだかわからないだろう。
分からない言語での必死の叫びのような。
だから、私は、痛みを大切に取っておきたい、と思うのだ。
痛むたびに、名前を付けた。
痛むたびに、オブジェを置いた。
何時しか私の部屋は女の子っぽい見かけとは裏腹に激痛の間に変わっていた。
このぬいぐるみも、ピアスも、香水も全てが何かの痛みの残滓だ。
だから、彼が死んだ。
テレビの中の戦争という言葉がいつから言われたのかしらないけど
その中の世界はほんとうに遠い世界の出来事で痛みを感じることなんてなかった。
痛みに取り憑かれた私に本当の痛みを教えようとした彼は何時の間にか兵士になっていた。
私を救いたいと言い残して。私なんかのために。
それでも彼が伝えてくるゲリラに混じりながらの殺し合いでも
私にとってはテレビの中の事に過ぎなかったんだ。
膿んで痛む傷も苦しいほどの空腹も目の前で飛び散った仲間の脾臓も。
最期は、とても簡単に終わってしまったらしい。
砲撃で片腕を亡くしそのまま特攻しても装甲車には何の傷も付かなかったんだって。
テレビが伝えた戦死者数十名の中の1が、彼の全てだ。
痛みとか、よく分からなかった。
私は名前を付けるのを忘れた。
少しして、彼の腕だったものが送られてきた。
焼かれたそれは白くて無機質で、人という形からはあまりにもかけ離れている気がした。
乱暴に扱われたのだろう、所々砕けて欠けたそれは名前の無いオブジェ。
生命の末端。繋がりは断たれている。
私の部屋が静まり返った。全てが吸い込まれたように。
私は残骸を箱に戻した。青い風が、私の中を通り抜けた。
光が失われた頃、私は指をゆっくり折った。近づける日を数えるように。
廻り来る青い周期は鈍く痛み、そして何も残さずに消えていく。
それがどこか大切なもののように思えるのは生命の源泉に繋がっているからなんだろうか。
でも、現実はもっともっと刹那的でそんなことよりも
お笑い芸人のリアクション一つの方がよっぽど心を動かすのだろう。
一瞬のきらめき…とまではいかないか。それでも、他愛も無い笑いは心が軽くなる。
猫の鳴き声でも笑えたあの頃が懐かしくなる。
それは、笑いと痛みという対極とでもいうべき違いもある。
誰だって笑っていたいに違いない。
痛い事に快楽を感じる倒錯した人もるようだけど
それだって何かが付随しているからこそで痛みが主軸ではないのだろうと思う。
あの子もホントウに独りなら手首切りはしなかったから。
笑いはモーションでもキーワードでも簡単に分かる(ような気がする)のに
痛みはなんでちっともなんだかわからないだろう。
分からない言語での必死の叫びのような。
だから、私は、痛みを大切に取っておきたい、と思うのだ。
痛むたびに、名前を付けた。
痛むたびに、オブジェを置いた。
何時しか私の部屋は女の子っぽい見かけとは裏腹に激痛の間に変わっていた。
このぬいぐるみも、ピアスも、香水も全てが何かの痛みの残滓だ。
だから、彼が死んだ。
テレビの中の戦争という言葉がいつから言われたのかしらないけど
その中の世界はほんとうに遠い世界の出来事で痛みを感じることなんてなかった。
痛みに取り憑かれた私に本当の痛みを教えようとした彼は何時の間にか兵士になっていた。
私を救いたいと言い残して。私なんかのために。
それでも彼が伝えてくるゲリラに混じりながらの殺し合いでも
私にとってはテレビの中の事に過ぎなかったんだ。
膿んで痛む傷も苦しいほどの空腹も目の前で飛び散った仲間の脾臓も。
最期は、とても簡単に終わってしまったらしい。
砲撃で片腕を亡くしそのまま特攻しても装甲車には何の傷も付かなかったんだって。
テレビが伝えた戦死者数十名の中の1が、彼の全てだ。
痛みとか、よく分からなかった。
私は名前を付けるのを忘れた。
少しして、彼の腕だったものが送られてきた。
焼かれたそれは白くて無機質で、人という形からはあまりにもかけ離れている気がした。
乱暴に扱われたのだろう、所々砕けて欠けたそれは名前の無いオブジェ。
生命の末端。繋がりは断たれている。
私の部屋が静まり返った。全てが吸い込まれたように。
私は残骸を箱に戻した。青い風が、私の中を通り抜けた。
光が失われた頃、私は指をゆっくり折った。近づける日を数えるように。
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