パブロフ

2008年3月1日 駄文
は じ ま り は
 な ま え の な い
    て  が  み
 
 
 
 
 
早熟だった。いや、熟すなんてもんじゃない。
正確に言うのなら腐っていた。
誰もが(男に限る)やったことであろう幼稚園でのスカートめくり。
ただのいたずらだったわけじゃない。
性的欲求でそれを行っていたなんてどうだろう?
園児が放課後のお稽古のバレエで着替える様を影から除いていた園児なんて
ロクな大人にならないに違いない。

それでも小学生の時には落ち着いていた。
入学早々スーカトめくりをした男子はズボンを脱がしますなんて
適切に脅されたというだけだったのだけど。

それでも秘密基地にはどこからか拾ってきた猥雑な本が溢れていた。
ボロボロになった紙束には夢も希望もありはしなかった。
もっとも、それが同じ紙――札束だとしても夢も希望もないだろうが。
モザイクや白抜きで隠される局部を夢想する事はなかった。
それがどんな形でも、行為を想像してしまえば大した違いはないのだろうから。
見るものではなく感じるものだから。
ただ、それはどうしようもなく隠さなければいけないもなんだ、と分かった。

ねぇ、だから、こんなにも歪んだ存在の僕は

許されるわけもないって

押しつぶされそうだった

僕が穢れた想像をすればするほど、女の子は綺麗だった。
泥だらけの本に押し付けた舌が、ひどい苦味を感じた。
汚い心と体じゃ、女の子になんて触れてはいけないと信じた。
伸ばした手は影だけを掴んで。
気づけば、精通の前から達する事を覚えていた。

その境界をいつでも犯そうとしてた、けど、
そこまで届かないのは、単にチキンだっただけ。
狂々まわる、いつものメビウス。
少しだけ、タガがはずれたのは狂気に圧されたから。

はずみの告白が受け入れられたのは何故だろう?
ねぇ、僕には「好き」なんて意味がわかってなかったのに。
気高いハズの女の子がそれに気づかないなんて。

付き合って少しだけ経った時、彼女を抱きしめたら、泣いた。

ああ、それで全部わかってしまった。

何も言わず立ち去れば良かったのに逐一確かめたのは終わりを確信したから。
告白された嬉しさでOKしてしまった事。
ホントウは別に好きな人がいた事。
抱きしめられて初めて好きでもない人と付き合う意味に気づいた事。
泣きながら問いに頷く彼女、いや元彼女。

ああ、やっぱりどこか気高いな。
好きでもない男に抱きしめられたら泣いちゃうんだね。

そしてやっぱり最低な僕なのに
時の流れに押し込むようにしてまた同じ事を繰り返すんだ。
もっと狡猾に。

建前でも本音でさえも結局同じ下心で構った女の子が懐いてしまったのは
家庭環境が不安定だったからにすぎないんだろう。

机の中に入っていた手紙は名前がなかったけど
そういう風に仕向けた子だからすぐに思い当たってしまう。

形だけの僕からの告白。

…あの時、なんて言ったんだろう。

押さえに抑えたそれなりの課程は穏やかだったけど
1月も過ぎた頃に僕は僕だということが溢れ出した。

ベンチしかないような公園でグラスも使わずワインを分けて
わざとすぎるほどさりげなく腕を胸に触れさせた。
酒の勢いを理由にするほど、臆病に、したたかに。

B…しちゃったね、と彼女は言った。

まるでピトスの少女だ。無邪気なほどに。
決壊してしまった。すべてが。

それじゃあ、まだBじゃないから、と僕は言った。
木を見ただけでは森ではないように。

不思議そうに僕を見る彼女の返事を待たず僕は手を下に伸ばす。
布の上から。隙間から。進入する。ブレーキは壊れてしまって。
彼女の表情に恍惚が混じる。崩壊が加速する。

してよ、と彼女は言った。

ねぇなにが起こっているんだろう翳るままの瞬間に。
僕の望んでいた悪夢のままの景色が。

そこがどこだかも忘れてしまった僕らを引き戻したのは知らない足音。
それでも抑圧されつづけていた僕といくらか抑圧された君が結ばれたのは遠くなかった。
抑え続けられたバネだから開放されれば爆発的で。

高める方法はいつかの紙束で得た知識しかなくて。
ことの際はにいつも耳を舐める戯れ事で
いつしか彼女はそれだけでぐちゃぐちゃになるように変わった。

カラオケの合間に、テレビゲームの休憩に。
いたずらのように耳を舐るとそれだけで溢れ出て、落ちて。
その空間が捻じ曲がっていく。

ああ、まだ僕が小学校の時だ。
向かい合わせに座る給食の時間の狂気。
僕はゆっくりと足を上げて向かいの女の子の足の間へと伸ばしたんだ。

何かが終わると思った。全てが終わると思った。
なのに、女の子は黙って微笑んだだけだった。

気高さなんて思ってたものは所詮自己嫌悪でしかなっかたんだろう。
並んでしまえば嫌悪を抱く理由が無くなったのかもしれない。

今日は大丈夫な日だと言う彼女は
虚空から2回分の濁りを溢れさせながら
もう1回愛してくれたら起きるからと言った。

ああ、思い出した。あの時の告白。

これから俺がお前を守ってやるよって言ったんだ。

誰から守るのさ? 何から守るのさ?

なぁ、なぁ?
こんなにしちゃった僕が何を守るっていうんだよ。

また納める前のお約束を繰り返しながら
僕は実験動物の犬のことを思い出していた。
 
 
 
 
 
お し ま い は
 す く い の な い
  い  た  み

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