ISBN:4840233845 文庫 上遠野 浩平 メディアワークス 2006/04 ¥557

(あまりネタバレは含みません)

またまたですがラノベね。

…まぁ俺はある程度非日常的な要素が入ってる方が
物語としては面白いと思うからさ。そういうのがラノベは多いからね。

ミステリとかも言ってみれば非日常なんだけどね。

硝煙反応・ルミノール反応・DNA検査・古典的(?)な指紋。
主体が警察じゃなければ自白剤も有りだしね。
嘘発見器だってあるし。(まぁこの後2つはそれなりの精度しかないわけですが)

現実犯人が捕まってない事件なんて
とっくのとうにどっか逃げちゃったってモンだもんね。
ミステリじゃ最初から最後まで出てこなかったヤツが犯人なんて出来ないからね。

でもミステリはイマイチ… まぁこの辺は趣味だからね。

というわけで上遠野浩平最新作読みました。
例によって(?)救い無いです。

ストーリー的には本筋とは全然関係無い話ってところ。
(まぁこの作品本筋に関連してる話の方が少ないけど)
とあるMPLSの話ってだけで終わってますが。
あんま本筋と関係ない話の方が面白いんだけど。「パンドラ」とか最たる物だし。

パンドラと同じく神話をモチーフにしてるのかな。
聖書よりは神話なのか。まぁいいけど。

ストーリー的にはね、やっぱ淀みがなくて綺麗。
個人的な趣味ではと前置きしますが西尾維新より好きですよ。
この話も基本的には書きたいシーンが先にあってのものだろうけど
そこまでの整合性が取れてるというか。調和があると言うか。

でも、なんだか…高望みしすぎなのか
自分が年食っちゃたのか、カタルシスがもう麻痺しちゃったのか

そこまで飛びぬけて面白いって印象は受けなかったんですけどね。

なんか淡々としすぎててあまり感情移入が出来なかったからかも。
というか物語の進み方自体が自動的過ぎて
そこに選択の余地が無かったように感じられるからかもしれない。
(ひょっとしたら3人称だからかなぁ… うーんそれがそこまで影響するかなぁ)

うーん、慣れ、なのかなぁ。

めちゃめちゃ感覚的な話をすると
この話は最初っからどこにも繋がってなかったように見えるからなのかもしれない。
どこかに繋がってるように見えて、それが理不尽にせよ選択の結果にせよ
断ち切られる方が悲劇的ではあるからね。
そこで切られる以外にもまだ何かが残っているといいんですけど。

まぁ…物語が面白いか面白くないかなんて
結局自分の趣味に合うか合わないかだもんね…

文体の上手い下手すらもあまり関係しないしね… いいんだか悪いんだか。

まぁ面白かったです。そこまでじゃなくてもそれなり以上ではあったかな。

P.S. (ネタバレを含みます)
あ、やっと分かった。
「パンドラ」では世界の危機に立ち向かうための犠牲だった。
誰かに押し付ける事さえできずに、立ち向かうしかなかった。
でもこれは、つまるところ晴海の心の問題なんだよね。
普段はそれなりに日常生活を送っていた事、
2度目の貞夫との接触で彼が炎上しなかった事、
そして戦闘時の能力の使い方から考えて
本質的には晴海は能力をコントロールできていた。
だから、これは惨劇でも悲劇でもなくて結局は晴海の自業自得っていう
赤頭巾ちゃんのような話にもならなくて心中にも満たないっていう
そんな出来事にしか思えないからって事だった。
うーん、まぁ趣味の問題にはなっているんだけど、
殺人犯が悲劇的な死に方をしようがあんまノれないってトコだね。

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