ISBN:4840232385 文庫 御影 瑛路 メディアワークス 2005/12 ¥641

(多少ネタバレ含みますって感想って少しはそうしないと、ね?)

はい。御影瑛路の2作目です。
ジャンルはホラーかな…救いないです。
この人の話は話自体に意外性は少ないのですが
出てくる登場人物の心の動き、流れが素晴らしいと思います。
いじめられっこ、いじめっこ(とまでいかないでも原因を作った人)の自殺、
そして…乱暴された少女、しずかの自殺。
ここまでは言ってはなんですが話自体は良くある話でしょう。
しかし、そこに関わっていた「麗奈」の存在…
そのしずかであった彼、和亮はその存在を突き詰めていきます。
幽霊をただある者、不気味な物、イレギュラーとして扱わず
定義して突き詰めていくのはこの作者っぽい所だな、と思います。
しずかは最後に「気付いて」も飲みこまれてしまう。
そして和亮は知りながら、自分「麗奈」に何を求めるのか考え、
ついには倒す事に成功する。
…ただし、それはやっぱりというかなんというか悲しいホラーな結末。
誰もが足掻きながら、幸せになれない。
人間ってこんなにも不器用なんだっていうのがひしひしと伝わってきます。
なんていうかその救われなさっぷりが凄く切なくて悲しいです。

前作はハッピーエンドですが今回はかなりのバッドエンド。
でも共通するなんといえばいいかな…言わば「透明な寂寥感」が
満ち溢れています。
というわけでかなり面白かったです。

そうそう、本編と関係無い話ですけど

運命的な出会いなんて全然無いけど
その関係がずっと続いていくのって運命的だよね。

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